Members‎ > ‎

Rina_TANAKA

日本とアメリカの学生間における生命科学分野の研究と生命倫理に対する認識の違い

企画者:27141600635 田中里奈

 

1. テーマ選定の背景

今年の夏休み、生命倫理について考える機会があった。夏期の集中講座で様々な倫理的な問題について考えたが、その中でも特に私が関心を持ったのが、デザイナーベビーの話題だった。

その授業では、実際の事例を用いて議論を行った。その授業で扱った事例はオーストラリアのある家族の事例だった。その家族の一人息子がある病気を抱えており、HLAの一致する人からの骨髄移植が必要だった。しかし、彼のHLAは非常に珍しく、ドナーを見つけ出すことは非常に困難とのことだった。そこで、彼の両親が選んだのが人工授精した受精卵を着床前診断により彼のHLAと同じHLAを持つ弟、もしくは妹を選んで授かることだった。そもそもHLAとはヒト白血球抗原のことであり、第6染色体上の遺伝子により決定される。ヒトの常染色体は二対で、両親からそれぞれ1本ずつ受け継ぐため、親子間でこれが一致することはほとんどない。また、この抗原の形を決定する遺伝子は計6つあり、それぞれに複数の型が存在し、バリエーションは数万通りとされる。しかし、両親が同じ兄弟間であれば、一致する確率は4分の1となる。このため、彼の両親は彼と同じHLAの型を持つ兄弟を着床前診断にて選定し、授かることにかけたのだ。もしも彼と同じHLAの型を持つ兄弟を授かることができれば、臍帯血移植ができ、彼の治療ができる。ドナーを待つリスクもなくなり、さらに兄弟間の移植は生着率が高い。また、臍帯血を移植するので、ドナーに負担がないことも利点の一つである。しかし、ここではある倫理的問題が発生する。彼の両親が彼の兄弟を授かるためにとった手段が着床前診断だったことである。彼の両親は、人工授精で受精した受精卵のうち、彼と同じHLAを持ち、なおかつ彼と同じ疾患を持たない受精卵を欲した。HLAが一致する確率は4分の1であり、仮にも彼に兄弟ができたとしてもHLAが一致するとは限らないし、さらには彼と同じ疾患を持って生まれてくる可能性があるのだ。しかし、そうは言っても、着床前診断が許可されるべきか否かは意見の分かれるところである。着床前診断は8細胞期の受精卵から一つ取り出し、遺伝子を調べるという診断である。今後発生し、生命となりうる卵の選定作業であり、また遺伝子により優劣をつけるツールになりかねないからである。実際、授業内での学生の意見も賛否両論あった。しかし、学生の多くは彼の両親に賛同した。または、自分自身が彼の両親と同じ立場なら、同じ選択をすると答えた。しかし私は、そういった技術が実際に施行されている事実自体に、少しの恐怖と嫌悪感を覚えたのだ。

彼の兄弟を授かるための操作により受精した受精卵は20数個に及んだ。そのうち着床したのはたったの一つである。その可能性を自在に選択できる。そういった技術がすでに確立されている。生命の誕生とは偶然の連続である。しかし着床前診断のような技術が、生命の誕生の定義すら、揺るがそうとしている。そのことに私は恐怖した。また、そのような技術を生み出してしまうほど、強く“生”に執着する人間を、気持ち悪いと思う。しかしこの考え方は、その授業を履修した学生の中では稀なものだった。

そこで今回の留学を利用し、生命科学を学ぶ学生間における倫理感の違いについて調査したいと考えた。

 

2. 調査方法

アンケートを立命館学内、UCD学内にて行う。

また、生命倫理について賛否両論ある事例を一つ取り上げ、その問題についてどう考えるか、インタビューを行い、調査する。

ž   アンケート →性別、回生、現在の研究内容など

ž   インタビュー→生命倫理について(事例を用いる)

 

3.実施計画

事前活動について

A)     立命館大学生命科学部の学生を対象に2.にて述べた調査を行う。

調査に基づき、学生の生命倫理に対する認識の傾向や特徴をまとめる。

B)     立命館大学の生命科学部以外の学部に所属する学生にも2.に示した調査を行う。

C)     A)B)の結果を比較し、生命科学を学ぶ学生に特異的な点をまとめる。

留学中の活動について

a)      UCDの学生を対象に2.に示した調査を行う。

b)      a)の結果を学部や学年別に分類し、各グループにおける傾向や特徴をまとめる。

c)      事前活動の内容と比較する。

 

 

Comments